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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

2017年春・JR復活路線1泊2日の旅(常磐線篇その2・浪江駅にて)

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 浪江駅から折り返しの電車の発車時間までは10分程しかありません。それに乗って引き返すことはできますが、あまりに味気無い。ひとまず見送って、駅や周辺を見て回ることにします。

 

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 駅の建物からホームを見ます。仮通路のおかげで階段を使わずに済んで便利になった面はあります。ただ、この通路が撤去され、再び通行可能になった線路を電車が行き来するようになった時が、本当の常磐線復活の時なのです。

 

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 駅舎に設置されていた時間当たり空間放射線量率の計測器。日本国内の他の地方では見ない値のようには見えます。しかし、飛行機移動が増えた身からすれば、この程度の線量率よりも、機内での値の方に不安を感じる方がまだ多少はマトモな気もします。ってほど飛び回っているわけでもないのですが。

 

(参考) 航空機搭乗者の被ばく線量 (09-01-05-11) - ATOMICA -

 

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 電車は去っていき、駅からは人の気配が消えました。

 大震災前は特急停車駅だった浪江ですが、今は普通列車が10本程度折り返す、事実上の盲腸線の終着駅になっています。しかし、それでも電車はやって来るようになったのです。

 

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 きっぷ売り場には、普通の券売機とみどりの券売機が1つずつ置かれていました。

 ただ、帰りのきっぷを買おうとすると、どちらも動きません。駅員の姿もなく、どうにもしようがありません。

 

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 見ると、すぐ近くに乗車駅証明書の発行機がありました。ここで証明書をもらい、車内や到着駅で精算してください、ということのようです。

 なお、Suicaが使えるのは、仙台・岩沼方面から原ノ町まで。磐城太田、小高、桃内、浪江では使えないので、気を付けないといけません。

 

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 駅の外に出ると、駅の営業時間、もう少し正確には駅員の配置時間が掲示されていました。

 ただ、今はこの時間外。それで自動券売機が使えず、乗車駅証明書発行機を利用することになるのですが、それならそうと明記してくれると大変ありがたいのですが……

 

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 浪江駅の駅舎。いかにも国鉄、という印象で、取り立てて特徴というものは感じません。

 

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 ただ、駅にとっては与り知らぬ惨禍が、何の変哲もない地方の特急停車駅を、復興のシンボルの1つにしてしまいました。

 

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 常磐線の不通区間を結ぶ代行バス。浪江から竜田を含む区間は、これまで3回乗車したことになります。

  

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 現在は竜田ー富岡間が大幅に増便された一方、富岡以北のバス上下4本のうち3本が浪江発着に短縮されたのですが、竜田初の午前の1本のみ、従来通り原ノ町まで運転されます。これを利用して浪江からいったん北に戻る、という計画です。

 

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 駅前のバスターミナルには、すべてメタリックな屋根のついた待合スペースができていました。浪の上を走るヨットのイメージでしょう。

 

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 駅の外にも空間線量計が置かれています。先程よりはかなり線量が低くなっていますが、この辺の理由は分かりません。風向きや天気、ちょっとしたことでも変わってくるのでしょうし。

 

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 駅前のロータリーにつながる交差点に、こんな歌碑がありました。敷地を信号機の電柱がぶち抜いている、というか信号機のある辺りに歌碑を立てたという方が正確なのかも知れませんが、それにしても前衛的な配置です。

 

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 戦後間もない昭和26(1951)年に大ヒットを博し、同じ年に映画化された「高原の駅よさようなら」。

 この一帯はどう考えても高原ではなく、むしろ高原だったら東日本大震災の被害は多少なりともマシになったのではないか、といういささか八つ当たり的な疑問が湧いたのですが、碑文を読んでみると、この歌は福島県浪江町出身の作曲家佐々木俊一が世に送り出したものとのこと。それでこの碑が立てられたのです。

 

(参考) みんゆうNet ふくしまの舞台−作曲家・佐々木俊一「高原の駅よさようなら」−

eiga.com

 

 他聞に漏れず、この歌碑も歌が流れる仕掛けが施されています。

 静かな休日の午前の駅前に、半世紀以上前の物悲しい旋律と詞が渡っていきます。

 

 

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