このシリーズの前篇を投稿した時に「CDについては後篇でご紹介できればと思っています」と書いておきながら、後篇では完全にすっ飛ばしてしまいました。済みません_| ̄|○
ただ、今から加筆すると結構な量になるので、この際新たにエントリを立てることとしました。こちらのエントリで、私の手持ちの録音から、特に気に入っているものを挙げたいと思います。カリンニコフの交響曲は第1番、第2番とも録音が増えていますが、中にはきわめて遺憾なものもあり、CDを間違うと浪費にしかなりません。ですので、少しでもカリンニコフの作品にご興味を持たれた方が、ご参考にしていただければ幸いです。
まずは先日のN響定演への出演に敬意を表して、ネーメ・ヤルヴィ指揮ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル交響楽団による録音を最初にご紹介しましょう。第1番は定演での演奏にも通じるロシアの抒情と土の香りが伝わるような演奏、一方の第2番もおすすめです。第1番の陰に隠れがちな作品なのですが、2曲目の交響曲だけあって前作よりも手が込んでいますし、カリンニコフらしい歌謡的な旋律も味わえます。何よりオーケストラの鳴らし所が結構あるので、ここぞの場面で爆発力を出せる指揮者とオケの組み合わせなら間違いなく楽しめる作品。この組み合わせがまさにそうです。
こちらはイギリスのシャンドス(Chandos)・レーベルから発売されています。現在は交響曲2曲が1枚に収まったCDが発売中で、そのリンクを下記に示します。
■ Kalinnikov: Symphonies - CHAN 9546
なお、かつてこの2曲は別々のCDで発売されていて、特に交響曲第2番の方にはカリンニコフの小品も入っていました。この2枚は既に廃盤ですが、定額インターネット配信サービスのナクソス・ミュージック・ライブラリーで聴くことができます。
続いては、テオドレ・クチャル指揮ウクライナ国立交響楽団による交響曲第1番・第2番の組み合わせ。既に定演エントリの前篇でも書きましたが、カリンニコフの人気復活を語る上で絶対に外せない録音です。私もこの1枚でカリンニコフの作品と初めて会ったわけですし。
ただし、演奏自体は他の録音とはタイプが違い、より抒情性、歌謡性を押し出したものと言うべきでしょう。それだけに第1番は流麗さも感じられますし、とりわけ第2番については他の録音とは明らかに違い、爆発性はあまりない代わりにとにかく歌います。もっとも、それが悪いというわけでは断じてありません。いや、悪かったら私がここまではまり込むことは間違ってもなかったでしょう。人によっては一生モノの付き合いになるであろう至宝です。
■ KALINNIKOV: Symphonies Nos. 1 and 2 - 8.553417
さらに、エフゲニー・スヴェトラーノフ指揮ソヴィエト国立交響楽団による録音も決して忘れてはなりません。カリンニコフが今よりはるかに知られていなかった時代に作品を録音しただけでも尊敬すべきことですが、水準の高さはもとより熱気の伝わる演奏の価値は、どれだけ後発の録音が出ようが消えることはないでしょう。
もっとも、その価値にも関わらず、録音が正当な扱いを受けたとは言い難い面はあります。CD化は長らくされませんでしたし、特に第1番の録音が一般に入手できるようになったのは、第2番と比べてかなり遅れたように記憶しています。またCD自体も同じ録音が発売されては市場から消え、しばらくしたら全く別のレーベルから発売されるを繰り返しています。ために、現在どのレーベルからのCDが発売中かを調べるのは難しいところです。Amazon等で出ているのを見つけたら、その時に入手してしまうのが適切かも知れません。
ですが、オーケストラにこだわらなければスヴェトラーノフ指揮NHK交響楽団によるライブ録音が入手可能です。実はN響は戦前からカリンニコフの交響曲第1番を演奏会で取り上げてきた歴史があります。そんなオーケストラがカリンニコフの世界的第一人者の手で演奏したのですから、これが歴史的演奏にならないはずはありません。日本を拠点とするカリンニコフ、いやロシア音楽好きなら聴いておくべき名盤、とあえて大きく出てみます。
この他にも、むせかえるようなロシアロシアした演奏、より洗練された演奏、意外な組み合わせによる貴重な演奏、聴かなきゃよかった演奏などいろいろありますが、またも長くなってしまったのでこの辺で。
そして、演奏会自体については、下記のエントリ(特に後篇)をお読みいただければ嬉しいです。ぜひぜひ。