3710920269

それでも、東アジアのななめ上を目指す。

日本モンゴル学会2018年度秋季大会で研究報告を行いました

f:id:minato920:20181125081041j:plain

 

 2018年11月24日、神戸大学で開催された日本モンゴル学会秋季大会で、研究報告「中国からの影響に対するモンゴル国一般市民の意識と関連要因:アジアン・バロメータ調査データの分析から」を行いました。

 

 

 今回のテーマでは、実は2013年の同学会春季大会でも研究報告を行っています。ただ、その後新たなデータが出たことから、モンゴル・中国関係の動向も踏まえ、分析視点を深めた上で新たに研究に取り組むことにしました。その研究の現状を、報告させていただいた次第です。

 当日の報告資料を印刷するのを完全に忘れてしまい、出席された方には申し訳ないことをしてしまいました。ただ、代わりと言っては何ですが、資料をSlideshareにアップロードしましたので、そちらをご覧いただければ嬉しいです。

 

www.slideshare.net

 

 今回の報告で、2018年の一般向けの研究報告はすべて終わったことになります。そして、その会場が大学院生時代を長く過ごした母校の神戸大学だったこともあり、少なからず感慨と言うのもありますし、ふと来し方を振り返ってしまうことにもなります。

 思えば、院生の時分、私は統計データ分析に背を向けていました。そもそもの分析能力がなかったと言えばそれまでですが、利用可能な統計資料が非常に限られていた当時、自分の研究は統計データ分析の限界から歩を進めるのだ、というような考えがありました。

 それが、何の因果か量的な社会調査の実施に関わり、統計データ分析でアカデミアにしがみついて、今日まで来たわけです。院生の私が今の私を見たら、果たしてどう思うだろうか、というのは、これまでもたびたび考えてしまったことです。

 その上で、それでも自分を正当化させていただきたい。私はフィールド調査であれ統計データ分析であれ、「いま」のモンゴルを理解するために、本来あるべき問題関心と研究手法の組み合わせが、まるで存在していないのを目の当たりにしてきました。そして、ならば自分が創り出すのだという意識で、モンゴル研究に取り組んできました。このスタンスは、研究手法が180度変わった昔も今も共通するものだと思っています。

 もちろん、たった1人で新たな研究を打ち立てるなどできません。できるのはせいぜい、スタート地点と進むべき方向の矢印を示すぐらいです。

 ですが、いやだからこそ、私がやろうとしてきたことを、どうか「いま」のモンゴルに関心のある方々に知っていただき、矢印の先に進んでもらえたらと強く願っています。

 その過程で、私の研究が出してきた知見が否定されても構いません。所詮、私は原初的な方法でしか研究はできていないわけで、より能力のある研究者が洗練された手法を使えば、否定されることはあっても不思議はありません(もちろん、私は自分の可能な範囲で最善を尽くしたつもりですが)。

 ただ、自分が示そうとしたモンゴル理解のための方向性、敷こうとした線路の向かうはずの先が間違っていなかったのであれば、それで自分が一番果たしたかった役割を果たせたと、私は思えるでしょう。

 社会科学において、モンゴルは探求するに値する社会・経済・政治システムです。ですが、その価値に見合った注目は今まで置かれてきませんでしたし、今はマシにはなったというものの、まだまだ足りないと言わざるを得ません。

 確かに、モンゴルに払う注目や研究上のコスト・努力・犠牲に見合った個人的な利得を研究者が得られるかと言われると、率直に言って答えに窮します。なので、強くお勧めできないのも正直なところです。

 ただ、モンゴルの社会科学的研究は関心に見合う「面白さ」があると、これまでの研究を振り返って、私は確信しています。願わくば、社会科学の諸分野を専門とする方に、少しでもいいので、モンゴルにより関心を持っていただき、今までの研究をさらに発展させていただければと思います。

 そして、この際なのでさらに欲をかけば、それらの研究がモンゴルへの理解だけではなく、モンゴルに生きる人々が、自らの社会をよりよくする上で何らかの役に立てばと願います。そうなれば、少しでも意味のある研究を私は残せたことになると思っています。