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それでも、東アジアのななめ上を目指す。

2018夏・日本列島跳躍旅行(2)野幌にて

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 JR函館本線野幌駅。まだ見た目も新しい高架駅で下車、地上に降り立ちました。

 

 

 野幌駅は複線の線路を2つのホームが挟み込むだけの駅です。快速こそ停車するものの、特急は通過しますし、付近に寺社仏閣や観光名所があるとも聞きません。つまりは、札幌近郊の通勤電車の小さな駅、といったところで、単なる鉄道旅なら、通り過ぎるだけでしかるべきところです。

 ただ、そんな駅を旅の実質的な出発点として電車を降りたのは、それなりの理由があります。

 

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 野幌駅の南口に、夕鉄バスというバス会社の停留所があります。今回の旅は、まずこのバスに乗り込むことから、本格的に始まります。そして目指すのは、夕張市。来年春に廃止される石勝線の通称夕張支線、新夕張から夕張の乗り納めに向かいます。

 ローカル線の廃止に向けた動きが続くJR北海道留萌本線の留萌から増毛に次ぐ廃止区間が、石勝線の新夕張から枝分かれする盲腸線です。

 北海道の石炭産業が盛んなりし頃、この路線は夕張線を名乗り、道内でも文句無しの主要路線でした。ですが、周知の通りの産業斜陽化と炭鉱閉山によって貨物輸送は消滅、さらに途中の紅葉山(今の新夕張)から根室本線へとつながる区間が開通、札幌から道東までのルートが完成すると、そこから外れた末端区間は幹線扱いながら支線に格下げされました。さらに、いずこも同じ過疎化とモータリゼーション夕張市財政破綻と、相次いで打撃を受けた末、最後はJR北海道の経営悪化がとどめとなってしまいました。

 救いなのは、夕張から札幌までの直通のバスがあること。今回乗るのもその路線の1つです。もっとも、バスは新札幌からも出ていますし、そちらの方が便利な気がするのですが、夕張までバスで行くなら、どうしても野幌から乗りたかったのです。

 ここまで夕張を走る鉄道として、旧国鉄・現JRの路線だけについて見てきました。ですが、かつての石炭の時代、夕張には私鉄も走っていました。中でも規模が大きかったのが夕張鉄道で、夕張市中心部のターミナルから山を越えて石狩平野を横断、そして函館本線につながっていた終点が、この野幌だったのです。

 夕張鉄道の路線は30年以上前に廃止されていますが、夕張鉄道から転じた夕鉄バスが、今も野幌と夕張を結ぶバス路線を走らせています。どうせ乗るなら、かつての鉄道の名残を残す路線に乗っておきたかったのです。

 

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  バスの時間まではまだ1時間以上あります。と言っても、時間を潰せそうなところはないので、とりあえずふらつくだけです。

 

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 北口のターミナルには、レンガ造りのモニュメントがありました。

 

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 こちらは、野幌がある江別市で栄えたレンガの登窯をモチーフにしたオブジェとのこと。北海道遺産ともなれば、こういう形で記念するものが置かれるわけです。

 

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 ただ、前述の通りJRの路線は高架化され、地上時代の施設は一掃。まして、廃止後年月を経た夕張鉄道の跡など見出す由もなさそうです。

 

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 駅の西側に、野幌の戦後史を見届けてきたであろう雑居ビルが、新たな建物の中にぽつりと取り残されていました。この建物ぐらいは、夕張鉄道を見てきたのでしょうか。

 

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 高架化こそ果たした野幌駅ですが、周辺整備はまだこれから。駅のすぐそばは、空き地だらけです。

 

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 高架をくぐり、駅の南側にきました。おそらくこの通りを越えた一帯が、かつての夕張鉄道の敷地なのでしょう。もっとも、それが正しいかどうか、確かめられそうな証拠は、ここには何一つ残ってなさそうです。

 

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 野幌駅の南口にきました。道路はできているところとできていないところがあり、結局ほとんど封鎖されて使えなくなっています。

 

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駅に戻ってみると、スタンプラリーのポスターが貼り出されています。舞台は札沼線の末端区間、終点付近は列車が1日1往復のみに減便されて一時期騒がれた路線です。この路線は途中まで電化されていますが、その先の区間が、おそらく来年度のうちに廃止されます。

 

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 再び外に出てきました。駅南口にはターミナルがあるはずなのですが、現在建設中。まだ舗装ができていない部分に柵が厳重に張られ、中央は高知よりましというレベルで雑草が生い茂っています。

 

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 本来ならバスターミナルに入るはずの夕鉄バスも、今は1ブロック離れたところにある仮の停留所に止まります。付近まで来ると、コンビニが来月オープンを目指して建設中でした。

 

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 野幌駅南口の仮のバス停につきました。これだけ見て駅前の雰囲気を感じろと言われると、ちょっと厳しいです。停留所の標柱に「駅」という表示があるのが、せめてもの救いでしょうか。

 

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 かつては石炭を積んだ貨車に、札幌に向かう乗客、さらには行楽客で賑わった夕張鉄道。今はそのターミナルもかつての面影をすべて忘れ、色あせたバス停の標柱に残る「鉄」の文字だけが、辛うじて断片を留めるのみです。

 

 

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