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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

酒どころ「敵情視察」(4)横手まで往復

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 酒蔵から秋田駅に戻り、時間が空きました。ただ風雪は相変わらずで、羽越本線方面はほとんど電車が動いていません。友人と考えた結果、横手まで足を延ばしてみようということになりました。

 

 

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 横手行の電車の乗り場に降りてみると、隣に男鹿行の新車が停まっていました。男鹿線は非電化なのでディーゼルカーと思いきや、こちらは最新鋭の蓄電池車両。電化されているところではパンタグラフから電気を採って電車として走り、その間に蓄えた電気で非電化区間を走るのだそうです。既に試験段階を終えて実用化された技術だとは聞いていましたが、実際に見ると感心してしまいます。

 ちなみに、車体前面のヘッドマークの絵柄は通称「ゴジラ岩」。男鹿市の海岸にある奇岩だそうです。

 

oganavi.com

 

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 反対側には横手行が停車中。こちらは一般的な電車です。

 ただし、横手行とありますが、本来は山形の新庄まで行くはずの電車です。大雪で県境越えの区間が運転見合わせとなったため、止む無く横手までの運転となったのです。って状況なのに、下手に遠出をして吹雪が強まったら電車が停まるんじゃないかと思われるかも知れませんが、過去の経験からそこまではないという判断です。

 

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 電車は雪原を走ります。風は時折強く吹き、電車に音を立ててぶつかってきます。それでも電車はものともせず、うなりを上げて疾走します。

 

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 東日本の日の入りは早く、横手に着いた時には既に日は暮れていました。ホームに降り立つと、反対側は一面が厚い雪に覆われています。ホームのすぐそばぐらいは線路があると思うのですが、その様子はまるで伺えません。

 

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 駅を出てみると、タクシー乗り場の屋根の上に大量の雪が積もっています。大丈夫だろうとは思うのですが、少しでも強度の弱った屋根なら、ひとたまりもなさそうです。

 そして、当たり前ですが空気は冷え切っています。こういう時に温かい飲み物があれば良いのですが、

 

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 自販機前の絶望。

 この雪をかき分けようという気は、いくらなんでも起きません。いや、ここでわざわざドリンクを買おうとした人がいないから、これだけ雪が積もってしまったと言う方が正確でしょうか。あるいは、かき分けたそばから雪が積もったのか。いずれにしても、もはや商売あがったりです。

 

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 駅前のバスターミナル付近は、道路が完全に雪で覆われています。車道脇に雪が積んであるというだけに、除雪をしていないわけではないと思うのですが、それでも車道の舗装がまったく見えないというのは、余程の雪の降り方、積もり方だったとしか言えません。

 

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 街中を歩くと、スーパーが見えてきました。せっかくなので、ここで秋田名産いぶりがっこと、地場のワンカップを買って帰ることにします。財政状況を考えると、高級な酒を呑んでいる場合ではないのですが、そこへ行くと秋田県内は地元の酒造会社がそれぞれワンカップを出していて助かります。

 

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 買い物を済ませて出てくると、小さなかまくらがありました。

 横手と言えば、焼きそばか、かまくらか。祭りの時期は終わり、市内のかまくらはあらかた取り壊されたようですが、人が入るためではない小さなものが、辛うじて残っています。

 

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 さらに歩くと、車道脇の雪はさらに積まれています。あげく、店の1階部分ぐらいの高さにまでなって、ようやく看板が見えるという状況です。

 

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 その店の前に来てみると、脇の空き地か駐車場か、ここにも雪が積もっています。おそらく除雪した雪を置いているのでしょうが、これが斜面なら、何かの拍子に雪崩が起きて不動産店が呑み込まれてしまいそうです。

 

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 街中でイルミネーションを見かけました。しかしこれもうずたかく積もった雪に隠れている上、この寒さでは外を出歩く人もまばらで、クリスマスもとうの昔に過ぎた後のツリーは、寂しく輝いています。

 

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 駅に戻ってきました。夜の闇と吹雪で街の風景が暗く閉ざされる中、ガラス張りの駅舎からの灯りがいっそう輝いて見えます。

 

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 駅前には大きなかまくらが残っています。ただ入り口は封じられ、中に入ることはできません。残念ですが、かといって開いたままなら、どんなたまり場になるか分からない、ということなのでしょう。

 

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 駅に着いてみると、改札で運休のお知らせ。これから秋田に帰る奥羽本線は、南行でなければ動いているのですが、かなりの遅れは覚悟しないといけません。はたしてアナウンスがあり、隣街の湯沢の駅を30分遅れて発車したとのことです。ま、動いてくれているなら御の字です。

 

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 電車の時間が近づいてきたので、ホームに降りてみると、雪はご覧の積もり方。念のため言っておくと、線路上は何とか電車が走れる程度に雪が除けてあります。そして電車は予想通りの遅れでやってきて、待ちわびた乗客を乗せると、一路秋田へと急ぎます。とはいえ単線のこの区間、行き違いの電車のダイヤも乱れていて、急げども途中の駅で待機を余儀なくされ、遅れは広がっても小さくはなりません。

 

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 40分ほどの遅れで、電車はようやく秋田に着きました。吹雪をかぶる進行方向に雪がぶつかるのは分かるのですが、反対側も雪がべとりとついていて、連結器は完全に隠れされています。停車中に吹雪にやられたのでしょうか。

 

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 電車の中でだいぶ暖がとれたとはいえ、それまでに横手市内の雪と風で、心身ともかなり消耗しています。普通なら呑んでから〆にラーメンというところ、とにかく温かいものを身体に入れたい欲求が先に立ち、呑む前にラーメンという異例のコースになったのでした。