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それでも、東アジアのななめ上を目指す。

シリーズ土佐の駅(162)上町五丁目駅(とさでん交通伊野線)

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 上町一丁目、二丁目、三丁目を飛ばして四丁目、そして五丁目。この辺りはまだ見た目も新しい道路の周りに、これまた建って間もないであろうビルと住宅が多く並びます。

 

 

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 この辺りでは珍しく、停留所の上下のホームは、互い違いにならずに並んでいます。かつてはここで東に折り返す電車も少なからず運転されていたそうですが、今のダイヤでは見る影もなし。今も残る「五丁目」という行先表示板と、停留所の上下の渡り線に、その跡が伺えるぐらいです。

 

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 停留所の東側には広々とした電車道。電車の架線を除けば電線が地中化されていて、まるで雑然とした感じはありません。

 

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 停留所があるのは、東西を貫く国道から春野方面への県道が分かれる交差点そば。県道を南に歩くと、すぐに小さな水路を見つけました。

 小さな水路にはガードレールもほとんどなく、市は何をやっているのかと思われそうです。ただ、この水路上は高知名物街路市が開かれる場所。毎週火曜日になると、水路に覆いが渡され、その上にさまざまな小間が連なります。水路はガードで隔離される危険な空間というよりも、高知市や近隣住民の営みの場なのです。

 

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 さらに南に進み、鏡川に架かる新月橋に来ました。新月と言いながら、満月のような丸い輪があちこちに配されたデザインは、漫画家の故はらたいら氏のアイディアによるものと言われています。

 

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 北詰に掲げられていた説明板。橋に絡むむべの蔓について紹介しています。個人的には、「いろんな経過」というまるっとした説明の内実が気になるところです。

 

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 ただ初冬の折、むべの葉は全て落ちてしまって、頭上に見えるのは蔓ぐらい。年が変わり、暖かくなった頃にまた通るので、その時にあらためて見てみないといけません。

 

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 橋から東側には筆山をはじめ、南岸の山が広がります。山腹の手前側で切り拓かれているところには、大規模な墓地が広がります。

 

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 新月橋の西側は、しばらく橋が見当たりません。橋があるのは、上流方向にS字にカーブした、ようやくその先です。

 

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 再び上町五丁目の交差点まで戻りました。国道と県道が目立つこの交差点ですが、ビルの谷間に、小さな一方通行の道が見えます。

 両側に歩道も街頭も整備されたこの道がある辺りは、今の道路が整備される前は、まったく違う姿を見せていたと聞きます。

 

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  国道から北に進むと、時間はちょうど10時。小さな橋の上に立てられた時計から、楽しげな音楽が流れ始めます。

 

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 住宅街の中にある時計のからくりが動き始め、メリーゴーランドが登場しました。音楽に合わせて、ゆっくりと回り続けます。

 国道の北、今は住宅街の中にわずかな商店が残るこの道路沿い。ただ長らくの間、この一帯は市場の広がる街でした。城西振興市場、いや昔の高知を知る方なら、「ヤミ市」と言った方がしっくりくるのかも知れません。

 

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 からくり時計に掲げられた銘板は、往時の写真と歴史、そして時計の由来を語っています。戦後の高知市民の生活を支えた市場が、時代の流れから離れていき、姿を消した跡にできたのが、この時計です。

 しかし、そんな時計ができてもう10年以上が経ちました。今私の目に映る街はどう見ても住宅ばかりが並ぶ街、かつての姿を想像することはできません。この小さな銘板だけが、どんな年にもありそうな1車線だけの一方通行の道の歴史を訴えています。

 

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 からくり時計が回り続けます。クジラに乗った龍馬はお約束、カツオに子どもが乗っているのも高知ならでは。他の2人が野菜に乗っているのは、やはりここが市場だったからでしょうか。

 

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 休日の朝10時。市場があれば、あるいは開店時間で賑わっていた頃でしょうか。

 

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 ただ、今は時計に目を止める人の姿はありません。そもそもこの通りで人影自体を見ることもなく、そのうちにからくり時計は上演時間を終えていきます。

 

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 からくり時計の幕が閉じました。11時まで、辺りは再び休日の住宅街の静けさに包まれます。