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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

シリーズ土佐の駅(154)家地川駅(JR予土線)

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 愛媛と高知の南部を結ぶ予土線北宇和島から続く路線の、厳密に言えば最後の駅が、この家地川駅です。

 

 

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 窪川行の列車がホームを離れました。運転系統上は宇和島窪川、運賃計算上は1つずつ手前の北宇和島から若井までとなっている予土線ですが、実際には若井駅は土佐くろしお鉄道中村線の駅。この後列車は若井駅の手前、川奥信号場で中村線の線路に入り、そこから若井を経て窪川まで走るのです。

 

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 ブロックの壁に波型の金属屋根、そして長いベンチ。待合室はいかにも国鉄末期にできたローカル線という感じです。ただ、いかつく輝く時計、きちんと塗られたベンチが、駅に手をかける人の存在を示しています。

 

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 江川崎から窪川までは、予土線でもとりわけ列車の少ない区間です。そのためたいていは上り下りの列車の到着時間が空いているのですが、13時だけ、わずか7分の間に2本の列車が来るときがあります。

 ちなみに、今回の訪問時間はその7分です。

 

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 駅から下りる階段。両方の手すりに塗られたペンキも、まだ新しそうです。

 

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 駅を降りて左手に、自転車置き場と建物がありました。建物には手洗所を示すプレートが大きく掲げられています。

 

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 ただ、本来の建物の用途は別のようです。今回は入ることはできませんでしたが、ここで地元の方が集まって、何がしかを創ったりするのでしょう。

 

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 駅から県道へと続く取り付け道路。左に折れれば、四万十川はすぐそこです。

 

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 県道の脇に置かれた標識は、どうも字体が普通のものとは違っています。小さく書かれた文字から、町が独自に設置したものと思われます。

 

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 駅から東の県道沿いに、小さな集落があります。山間の集落にとって、県道と鉄道はどちらも生命線と言えるでしょう。2本の道は信号場まで近くを走ったあと、南と北にそれぞれの進路をとっていきます。

 

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 家地川駅を振り返ってみました。

 列車の到着も近いというのに、田舎の棒線駅にいるのは私ひとり。あとは曇天の下、刈り取り前の稲穂や駅の大樹、山野の木々が、僅かな人造の構造物を除いて視野を覆います。

 

 

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 列車の時間まであと少し。再びホームに向かいます。

 

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 ホームの反対側を見ると、山林の手前に少しだけ、かつては人の手をかけられたであろう土地があります。はたして今はどうなっているのでしょうか。

 

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 駅には階段のほかにスロープもありました。案内はされていませんが、線路側に柵がされているということは、こちらも使われているのでしょう。もし使うなというのであれば、柵はホームを横切るように塞いでいるはずです。

 

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 2, 3両の列車が止まれるぐらいのホームを端まで歩いてみました。

 ホームの先は、山とその木々、さらに隣の大きな木に今にも呑み込まれそうです。

 

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 案内放送も何もない無人駅。列車到着を告げるのは、ディーゼルカーのエンジン音です。

 

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 やってきたのは、海洋堂ホビー列車のかっぱうようよ号。数人の乗客と、それよりはるかに多い河童たちを乗せた車両に、たった1人だけ人間が増えます。

 その後すぐに駅を発った列車はたちまちトンネルに吸い込まれ、その先から、四万十川と併走していきます。