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人には添うてみよ、馬には乗ってみよ、酒には酔うてみよ。

初めてのモンゴル「観光旅行」(6)ガンダン寺にて

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 昼食後はモンゴルのチベット仏教の中心、ガンダン寺を参詣します。

 

 

 現在のガンダンテグチンリン寺院、通称「ガンダン寺」ができたのは19世紀初頭のこと。その後、20世紀には社会主義政権による弾圧と閉鎖、それが緩んだ後は国内唯一の寺院として存続を許されるなどの歴史を経ましたが、民主化後にはチベット仏教復興の拠点となり、ダライ・ラマ猊下の訪問も受けるなど、モンゴルにおけるチベット仏教の中心としての機能を発揮しています。

 

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 ガンダン寺は境内に複数の建造物があり、全て回っているとそれだけで半日はかかるぐらいですが、今回は寺院の象徴とも言うべき観音堂と、その周辺を見学することになります。

 

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 寺院の前にあるソワルガ。サンスクリット語の「ストゥーパ」(仏塔)で、意外に思われるかも知れませんが、日本の卒塔婆と起源は一緒です。

 周りにある銀色の筒はマニ車といい、周囲にはタントラ(真言)が刻まれていて、内部には経典が収められています。これを右手で回しながら右回りに周回し、功徳を積んでいきます。

 

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 こちらが観音堂。内部には高さ20メートルを超す観音菩薩の立像がおわします。モンゴル語で「メグジド・ジャナライシグ」と呼ばれるこの観音様は、もともとは第8世ジェプツェンダンバ・ホトクト*1が病で盲目になったことから、治癒を願って建立されたものです。ただし観音像は、仏教弾圧が猛威を振るった1930年代にスターリンの命で撤去、破壊されたため、民主化後に再建され、現在に至っています。

 で、その観音像の写真なのですが、観音堂への入場料以外に料金がかかるので撮影しておりません。それでなくても、堂内に入れば五体投地で祈りを捧げている人もいるようななか、カシャカシャと写真を撮るのも気が引けるところです。堂内のマニ車や大小さまざまな金色の仏像が並ぶ壮観さも含め、直接ご覧になることをお勧めします。

 

 さて、堂の周囲を見てみると、色褪せた2枚の看板が目に入ってきました。

 

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 看板の一番上には、「イフ・マイダル国民的建設プロジェクト」と書いてます。イフは「大きな」、マイダルというのは弥勒菩薩のことです(確か)。ああ、そういやそんなプロジェクトがありました。ウランバートルの郊外に100メートルを超えるマイダル像を中心とするニュータウンを建設しようという、それはそれは巨大なプロジェクトで、以前モンゴルに来た時に、大々的に宣伝を行っていました。

 

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 時は3年前に遡ります。

 2014年3月、当時はチンギス広場と呼ぶことになっていた、今のスフバータル広場。その南側に、イフ・マイダル・プロジェクトのPRパヴィリオンが建てられていました。壁にはモンゴル文字で、「調和の象徴たる慈悲深き大弥勒菩薩」と書いているんじゃないでしょうか(適当)。

 

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 場内にあったプログラム。数人の講師が分担する形で、ほぼ毎日何かの講演が行われています。ただ、正直なところ講師の肩書も分からなければ、テーマだけでは内容がどのようなものかも想像がつきません。

 

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 内部にあったプロジェクトの完成予想図。ウランバートル郊外の草原にエコ・シティを作ろうという話です。大弥勒菩薩像を作るだけでも相当なものですが、さらにこれだけの街をつくるというのですから、巨額プロジェクトもいいところでしょう。

 他にもいろいろ説明はあったのですが、ああ、どっかで見聞きしたような話だなぁ、という感想を覚えずにはいられませんでした。日本のバブル経済を一応見ている私には、昔嗅いだ臭いがというか、忘れようにも思い出せない記憶が蘇ったような感覚が、このパヴィリオンから感じられたのです。

 そして時は巡り、3年後の2017年6月。大統領選挙の話題でもちきりのモンゴルから、こんな話が入ってきました。

 

time.mn

 

 「イフ・マイダル」プロジェクトから、2017年6月14日に活動を停止したので市民からの寄付を返還するという案内が出た、というニュースでした。ひょっと、と思ってたら、ついに、です。

 そして今回の旅の直前、このニュースはAFPから世界中に配信されることになったのです。

 

www.manilatimes.net

 

 これも昔見聞きしたような話。ただ、モンゴルはどこかの島国と違い、さっさと経済危機から脱却する目が十分あります。そうなったとき、このプロジェクトは復活するのでしょうか。

 

(参考)ガンダンテグチンリン寺院ウェブサイトモンゴル語

 

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【次回のエントリ→】 

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*1:ジェプツェンダンバ・ホトクトはモンゴルに拠点を置いたチベット仏教の活仏の1人で、1911年の再独立宣言後は国家元首としても推戴された人物です。「ボグド・ハーン」(聖なる君主)という称号でも呼ばれることが多いです