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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

シリーズ土佐の駅(150)古津賀駅(土佐くろしお鉄道中村線)

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 土讃線中村線と、山や話の中や海のそば、田舎の風景を走り続けてきた列車の目の前に、久しぶりに市街地が広がります。その中心部の中村も近づいたところで、普通列車は築堤上の古津賀駅に停車します。

 

 

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 古津賀駅を出て終点中村を目指す列車。目的地は大きなカーブや鉄橋の先です。

 

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 ゆるやかに弧を描く中村方面への線路。今は四万十川を越えて、宿毛までつながっています。

 

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 反対側の窪川方面は、駅を出てすぐ山中に入っていきます。隣を走る国道56号線も車線が減少し、鉄道とともに峠道に連なっていきます。

 

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 地上に続く1本だけの細い階段。あとから開業した駅のため、他の駅と比べるとまだ新しい感じがします。

 

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 階段を降りると駅舎もなく、広めの駐輪場と、少しばかりの駐車場に出てきます。簡素な駅の割に利用者が多いのか、自動販売機も3台置かれています。

 

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 梅雨明け間近の晴れ空の下、何もせずとも汗の出る暑さの中で、自動販売機の一段まるまるホットドリンクが売られています。しかもホットのおしるこまで売っているのです。四万十市と言えば日本最高気温を記録した市ですが、観測地点の江川崎から離れた中村も、別の意味でホットになっています。

 

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 駅前を走る道路と鉄道今日の傍らに、小さな花壇がありました。うだるような暑さの中、陽光で乾いた土の上で、花々がそれでも咲いています。

 

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 鉄道今日をくぐって国道との交差点に出てみると、古い碑がありました。道標なのか、何かの記念碑なのか、これを見るだけでは分かりません。

 

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 駅のホームの反対側、国道に面した築堤に、中村線の利用をアピールする看板が並んでいます。空港からも遠く、高速バスもない、そもそも高知方面は高速道路がない中村周辺で、鉄道による長距離輸送が無くなるのはかなり困る話なはずです。

 

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 築堤を利用して、植栽で古津賀駅の名が記されています。私も以前間違えていたのですが、「こつが」ではなく「こつか」なのです。

 

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 すぐ近くの国道沿いにバス停があったのを見ていると、いきなりディーゼルの轟音が聴こえてきました。始発駅を出たばかりの特急あしずり号が、高知に向けて古津賀駅を走り抜けていくところです。

 

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 古津賀駅の近くでバッティングセンターを見かけました。中村は高知県南西部随一の都市、一通りの商業・娯楽施設は揃っています。

 

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 広告を見ると、四国八十八箇所の札所までの距離が書かれていました。50キロぐらいの里程なら普通に見かけるところですが、何せ遍路道。この距離を暑さ寒さの中で歩いて行く人がいると思うと、やはり遠さを感じます。

 

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 一方、反対方面の国道に掲げられている案内標識。こちらは自動車・バイク向け、距離は倍以上でもそう遠く見えないから不思議なものです。

 

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 再びホームに上がってきました。久々に見る4車線の道を、自動車が絶えず行き交います。この賑わいを見るのは何時間ぶりでしょうか。

 

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 反対側は中村郊外の田園地帯が広がります。これでも、いままで訪ねてきた中村線沿線の中では、住宅は明らかに多い方です。

 

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 すぐ西に目を向けると、高台に農業高校の校舎が見えます。丘の下にあるのは、実習用のハウスであったり、あるいは畜舎でしょうか。

 

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 さらに西には、林の間に田んぼが広がります。はるか遠くには、宿毛方面への自動車道も走っています。中村と宿毛の間は早々に開通した道路ですが、高知方面と直結するルートは、まだ計画すら立っていません。

 

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 かすかに聞こえるエンジンの音。陽炎の向こうから列車の姿が朧げに見えてきました。先程中村に着いた車両が、折り返してきたようです。

 

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 はたしてやってきたのは、折り返して窪川に向かう宿毛市のラッピング列車。左右に広がる稲の薄い緑の中を走る列車は、古津賀駅を発つと、ほどなく山林の深緑へと分け入っていきます。