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人には添うてみよ、馬には乗ってみよ、酒には酔うてみよ。

【モンゴル大統領選挙2017】初回投票不成立回避も過半数獲得候補なし、史上初の2回目投票(決選投票)実施決定【6/28追記】

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 2017年モンゴル大統領選挙の初回投票が昨日行われました。最も多くの投票を得たのは民主党バトトルガ候補でしたが過半数には及ばず、僅差で2位を確保した人民党エンフボルド候補とともに、モンゴル初の2回目投票(決選投票)に臨みます。

 

 2017年6月27日正午頃に選挙中央委員会が発表した初回投票結果によると、投票者数は1,357,788人。投票率は68.27%で50%を上回り、選挙が成立しない事態はひとまず避けられました。

 そして今回の3人の立候補者のうち、最も多くの投票を得たのは民主党バトトルガ候補でしたが、 得票数は517,478票、得票率は有効票の過半数を大きく下回る38.11%に止まりました。与党人民党のエンフボルド候補が得たのは有効票の30.32%にあたる411,748票のみと大苦戦。人民革命党ガンバータル候補は前回人民革命党から立候補したオドワル氏の得票をはるかに上回る409,899票、有効票の30.19% を獲得しました。ただ、僅かな差でエンフボルド候補には及ばず、選挙中央委員会は法律の定めに基づき、バトトルガ候補とエンフボルド候補が2回目投票に進むことを発表しました。また、2回目投票が7月9日(日)に実施されることも公表されました。

 

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【6/28追記】 ……が、本日選挙中央委員会は投票日を7月7日(金)に前倒ししました。

 

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 今回の選挙に関しては、モンゴル以外のメディアも相次いで報じています。日本のメディアでは、日経の報道が詳しくまとめています。

 

www.nikkei.com

 

 ただし、結果の解説についてはいくつか補足が必要に思われます。記事ではバトトルガ候補がエンフボルド候補に得票差を付けた原因として、バトトルガ候補自身の信任と選挙戦略の成功が挙げられていますが、得票数で言えば、前回のエルベグドルジ現大統領より10万票あまり下回っており、かつ支持が地方にあまり広がっていない点は留意すべきでしょう。この記事では「党勢立て直しの端緒をつかんだ」という表現もありますが、あくまでその程度で、バトトルガ候補が票を集めたのではなく、エンフボルド候補が票を失ったと見るのが妥当でしょう。

 実際、エンフボルド候補の低迷ぶりは目を惹きます。約41万票という得票数は、旧人民革命党(現在のものは除く)と現人民党の候補としては、史上最低の1993年に次ぐ低さです。今回の選挙は与党党首として満を持して臨んだはずで、選挙戦では党の大物政治家・支持者がフル稼働して支持を訴えたにもかかわらず、終わってみれば2位を確保するのに汲々とする有様です。都市部はとにかくとしても、地方、とりわけ東部・中央部各県ではガンバータル候補が票を集めており、エンフボルド候補は逆に票を奪われた形です。

 ただ、この原因についてはまだ何とも言いようがないですし、詳細な分析が出ることを期待したいです。日経の記事では選挙直前の公開討論会を契機にSNSで反発が広がったとありますが、都市と地方の間であり得べきネット環境の格差を考えれば、はたしてそのような反発が地方にどれだけ波及できるかは疑問です。

 あくまで現時点での仮説ですが、私はエンフボルド候補側の戦略ミスの可能性を疑っています。バトトルガ候補との対決に注力するあまり、ガンバータル候補への票の逸走を見逃したという可能性です。エンフボルド候補は(具体的な日付が分からないのですが)選挙活動終盤になって、バトトルガ候補のスローガン「モンゴルは勝つ」に酷似した「団結したモンゴルは勝つ」を選挙広告で打ち出しました。バトトルガ候補への票の流れを止めようとしたのかも知れませんが、結果としては民主党がもともと強い都市部の票を取ることはできず、前述の通り地方の票もつなぎ留められなかった。選挙本部による情勢分析や戦略立案に何らかの狂いがあったのではないかという気がしてなりません(もっとも、あくまで仮の話でしかない点は強調しておきます)。

 そしてガンバータル候補ですが、第三極としては躍進を遂げたと言えるでしょう。過去の大統領選挙において、第3位の候補者が獲得したのは10万票に満ちませんし、そもそも候補者が2人だけだった時もあるのです。それだけ、今回の得票数は目を見張るものがありますし、二大政党の候補に肉薄したのは画期的なことです。

 しかしながら、僅か2,000票足らずの差で、ガンバータル候補は2回目投票への進出が認められませんでした。おそらくこの結果はそう簡単に受け入れられるまい、私が氏の立場なら票の数え直しぐらいは要求するだろうと思っていたところ、はたして氏と人民革命党が抗議の会見を行いました。

 

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 実は今日の未明から、人民革命党の支持者が選挙中央委員会前に集結して騒動を起こしたことが報じられていました。それだけに、当選ないし2回目投票進出が果たせないとなったとして、抗議に出るのは容易に予想できたことです。

 

sonin.mn

 

 はたして、人民革命党側は発表された投票総数1,327,634人が各候補の得票数の合計と合わないとの理由から、選挙中央委員会が人民党に有利になるよう働いたと訴えました(人民革命党が主張する値と本エントリ冒頭に掲げた選挙中央委員会発表の値とが一致しないのですが、ひとまずおきます)。別の報道では選挙やり直しを主張しているとも言われています。

 

unuudur.mn

 

 現実には投票やり直しはまずありえないでしょう。今回の選挙に際して派遣された国際監視団も、選挙活動等の問題点は指摘しながらも、選挙自体は適切に行われたとの見方を示しています。

 

www.montsame.mn

 

 とはいえ、そのような指摘で収まるならはじめから抗議などしないはずで、ガンバータル候補の怒りのやり場がどうなるかは気になるところです。7月7日の2回目投票日まで2週間もない中で、どのようにしてスムーズに選挙を実施させられるかが注目されます。

 

 本来は2回目投票についても書きたかったのですが、長くなったので続きは稿を改めて。