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人には添うてみよ、馬には乗ってみよ、酒には酔うてみよ。

「モンゴル社会研究」の欠乏(6)第9回ウランバートル国際シンポジウムの報告論文が掲載されました

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 昨年夏に開催された第9回ウランバートル国際シンポジウムでの報告を基に執筆した論文が、このたび昭和女子大学国際文化研究所紀要第23巻に掲載されました。

 

 

 まず、第9回ウランバートル国際シンポジウムについては昨年夏に書いておりますので、そちらをお読みいただければ。

 

3710920269.hatenablog.jp

 

 今回執筆したのは、シンポジウムでの報告とその後の議論を基にまとめた論文「CiNii収録文献タイトルの分析に基づく日本におけるモンゴル社会研究の検討――シルクロードの終着駅からティーロード中継点へのアプローチ――」というものです。題名にもありますが、モンゴル社会に関する論文や研究ノート・調査報告等のタイトルについて計量テキスト分析と呼ばれる分析を行い、その結果をまとめたものです。

 今回の研究の基本的な問題意識については、上のエントリで書いたところから変わっていませんので、ここで繰り返すのは差し控えます。ただし、今回の研究を踏まえて、モンゴル研究者が社会科学の実証研究のさまざまな手法を積極的に学び、研究に取り入れることの重要性は、あらためて強調しておきたいと思います。

 私が若い頃と比べ、モンゴルに関する統計資料や調査データは格段に入手しやすくなりました。もちろん先進国のようなわけにはいきませんが、日本にいながらでもモンゴルに関するデータ分析を行い、結果をまとめることは、昔からすれば信じられないほど容易になりました。

 ただ、分析結果それ自体が語ることは僅かです。そこから新たな知見を引き出すためには、その結果を解釈する作業が欠かせません。ただしモンゴルは欧米社会の強い影響を受けながら、それとは異なる独自の特徴をも保持しているわけで、欧米中心に発達してきた社会科学の理論を無批判に適用することは、モンゴルへのあらぬ誤解につながる危険を伴います。

 そうである以上、現代のモンゴルへの実地的・体感的な理解を持つ研究者が自ら分析を行い、その結果を解釈することこそが、事実に根差したモンゴルへの理解を促す上で有効と考えられます。その過程で、さまざまな分析手法をモンゴルに適用する上での利点や課題も明らかとなるでしょう。それらに基づくフィードバックは、社会科学の実証研究の手法をより現実に適したものにしていく上でも役立つはずです。もっとも、私自身それらができているかどうかは怪しいのですが……

 ともあれ、今回もまたウェブ版のない研究でたいへん恐縮なのですが、機会があればご一読いただけると嬉しいです。