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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

シリーズ土佐の駅(132)球場前駅(土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線)

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 安芸市内の中心から少し西にある球場前駅。その名の通り安芸市営球場、通称タイガース球場の目の前にある駅です。同時に、単線にホーム一本の棒線駅でありながら、安芸市内では安芸駅に次ぐ交通の要衝でもあります。

 

 

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 球場前駅のキャラクターは球場 ボール君。流石にそのものずばりとまではいきませんが、黄色と黒のタテジマのユニホームを着ている時点で、やはりタイガース球場最寄駅のキャラクターには十分過ぎます。

 

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 ホームがある築堤にはボールをかたどった駅名表示とともに、阪神タイガースのキャラクター、トラッキーとラッキーのレリーフが飾られています。暗黒時代を思わせるちょっと古めのタッチのデザインです。

 

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 球場一帯はタイガースタウンと呼ばれ、キャンプの時期には、線路沿いの小道にこれだけの幟が並びます。

 

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 駅の南側の交差点にも、タイガースタウンの案内があります。その隣に案内のある星神社は、三菱財閥の創始者で安芸出身の岩崎弥太郎がかつて願を懸けたというところで、特にベイスターズは関係ありません。横浜は、あると言えば関係ありますね。

 

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 阪神タイガース一色に見える球場前駅。しかし南側に行けば、もう1つの顔があります。

 

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 駅の南は広い道になっていて、その先にカリヨンの置かれた広場があります。

 

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 ここにはとさでん交通の安芸営業所と、高知東部交通の本社が置かれています。安芸市の中心からは少し離れたところが、バスのターミナルになっていることには、経緯があります。

 

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 バスの営業所と広い道を挟んで西側に、洋風の石造りの小屋があります。中にはベンチと、何やらパネルがあるようです。

 

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 石のパネルには、かつて後免から安芸までを走っていた土佐電鉄安芸線の由来が記されています。実は、その終点の安芸駅は今の駅の場所とは違い、ちょうどここだったのです。

 

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 かつての安芸駅の写真。奥に止まっているのは、おそらく元阪神電車の車体を利用した車両です。球場のみならず、鉄道も阪神関係あったのです。

 

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 かつての駅舎。安芸線は市の中心部までは線路を敷けず、ここからバスが発着していました。その名残で、甲浦や馬路村、高知市内に向かうバスのターミナルが、今もここにあるのです。

 

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 駅舎は廃線後もバスターミナルとして利用されていましたが、老朽化により解体。その跡地に建つのが、この小屋です。

 

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 小屋から西の方では、かつての駅が公園になっています。奥に伸びていく公園から、後免、あるいは路面電車の路線に乗り入れて高知市内へ、40年ほど前まで電車が行き来していたのです。

 

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 安芸線の廃止から曲折を乗り越えて、今は鉄道が蘇った安芸市。それでもかつての電車を記憶すべく、今とは異なるかつての安芸駅が、時を刻むカリヨンの広場になっています。

 

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 旧安芸駅を離れ、球場前駅に。冬の夕方とは思えないほどの強烈な日差しが、ホームに降り注ぎます。

 

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 そんな日差しの下に、列車がホームに滑り込んできました。今の球場前は途中駅、列車は奈半利まで走ります。

 

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 ホームからは旧安芸駅跡が一望できます。その先には、安芸線在りし日にはなかったであろう堤防と、「日本一高い防波堤」を称する但し書き。調べてみたら、南海トラフ自身が発生したときの付近の最大津波予想よりは、一応高いようです。

 

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 球場前から東に伸びる線路。安芸線が果たせなかった中心部乗り入れは実現したものの、その道は、本来目指した徳島県内のはるか手前で終わっています。

 タイガースタウンの最寄駅となったごめん・なはり線の途中駅、球場前駅。その傍らで、かつての電車の跡が眠っています。