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人には添うてみよ、馬には乗ってみよ、酒には酔うてみよ。

シリーズ土佐の駅(110)土佐穴内駅(JR土讃線)

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 高知・嶺北を流れる穴内川に沿って北上を続ける土讃線。山と木々に囲まれた間を縫って走る間に、列車はぽつりと置かれた土佐穴内駅に差しかかります。

 

 

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 阿波池田駅の列車は、乗客を1人だけ降ろすとすぐ発車。トンネルの中に吸い込まれていきました。

 

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 人の姿のまるでない駅の一帯。聴こえるのは対岸の国道を走る車の音と……ニワトリの声。

 

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 ホームの真向かいにニワトリ小屋が作られていました。法面のコンクリートと、その上を登る道路の間、トキの声がなければ気づかないぐらいの小屋です。

 

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 ニワトリはしばらく断続的に鳴いていましたが、やがて飽きたのか、すっかり黙り込んでしまいました。辺りには静けさが戻ります。

 

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 少ない列車を待つ人のためのベンチ。これが満員になることはあるのでしょうか。

 

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 ホームから高知方面を眺めます。ただ山と森が成す風景の中に、カーブの先の線路が消えていきます。

 

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 ホームの端まで来てみました。僅かに見えるトタン屋根と踏切が、ここに人間の暮らしがあることを思い出させます。

 

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 駅を振り返ってみると、右手にわずかな民家がありました。土佐穴内の駅は山の中、集落は少しだけ離れたところにしかありません。

 

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 上りの特急がやって来ました。高知県での停車駅はすべて停まった特急は、大豊町をただ通過していきます。

 

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 ためらいもなく通過していった特急列車。次に停まるのは高知県内を去った大歩危です。

 

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 次に停まる列車が来るのはまだ先のこと。ホームから降りてみました。

 土佐穴内駅のホームのこちら側は、見るからにかつて行き違いの線路が敷かれていた感じがします。ただそれも昔のこと。今は単線の線路に細いホームが1本だけ沿っているのみです。

 

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 駅の規模を考えればかなりの大きさの駐輪場が、すぐ隣りに作られていました。これだけのスペースがあるということは、ここはかつて駅舎があったのが取り壊されてしまったのでしょう。

 自転車に加えてシニアカーの駐輪場と書かれた掲示が、高齢化の果てにまで来たことを示しています。

 

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 それでも、地域の人々は賑やかさを醸し出そうとします。駐輪場の向かいには、通過する特急からでも十分目立ちそうな待合室が置かれています。

 

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 待合室の中は座布団付きのベンチに、上を見れば地元の写真が四面を囲んでいます。

 

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 この付近である意味名所のお宝屋敷に、人里の風景を写した写真が並んでいます。

 自然、ではなく、限界と言われながら続いてきた人々の営みが、今もまだあることを語りかけています。

 

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 手つかず、のように見えるところも、そうでないところも、人が暮らし、関わってきた風景です。

 

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 待合室を彩る、穴内周辺の新旧の風景。日本全国の高齢化、人口減を先取りした町で、田舎の喜びを掲げる人々がいます。

 

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 小さなイラストマップが、あてのない旅人を彷徨へと誘います。

 

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 外に出てみました。川沿いの桜並木の奥に、集落があるようです。

 

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 坂を下りて行った先、橋を渡れば穴内の集落。宅配便の運転手が、忙しそうに車を降りて走っています。

 

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 駅に戻れば、冬枯れの並木はまだ先へと続いています。

 

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 桜と紅葉の植樹を記念した石碑。昔からあるものかと思ってみたら、ほんの数年前に植えられたものということでした。

 

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 ローカル線沿いの桜並木と言えば、かつて集落も駅も賑わっていた頃の名残を、寂れた今に伝えるよすがと、相場は決まっていそうなものです。

 ただ、土佐穴内の桜並木は過ぎ去った日々を懐かしむものというよりも、むしろいまだ消えまじとする集落の人々の思いを込めたものでした。

 

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 寂しくなってしまった冬の土佐穴内。しかし春は巡ります。

 一面の桜は、間違いなく旅人の心の中に咲き乱れています。