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カリンニコフの交響曲第1番を愛媛大学交響楽団の定期演奏会で聴いてきました

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 カリンニコフ・イヤーの〆は松山で。愛媛大学第67回定期演奏会のメインプログラムで、交響曲第1番を聴いてきました。先日エントリにしましたが、日曜日に交響曲第2番を聴いてきたばかり。録音もほとんどなかった時代を振り返ってみると、隔世の感を禁じ得ません。

 

 

 今回のプログラムは、リストの交響詩前奏曲」と、愛媛初演となる尾高直忠のフルート協奏曲改訂版、そしてカリンニコフの交響曲第1番。「前奏曲」と言うとオープニングっぽいですが、実際はサブメインでもおかしくないぐらいの長さですし(演奏会の常として、プログラムの後になるほど長い曲になるのです)、実際にサブメインに置かれた尾高のフルート協奏曲は愛媛初演とのことで、メインも含めてかなり野心的というか、挑戦的なプログラムです。

 そして、肝心のカリンニコフもまた、一味違った演奏でした。何が大きく違ったかというと、テンポ設定をかなり遅めにとっていたのです。ですので、冒頭は私の中でのイメージと実際の演奏のテンポが大きくズレることになり、聴いていて相当な意外感がありました。

 同時に、このテンポで最後までもつのかという疑問が湧いたのも確かです。この曲は聴く分には素朴で清新な印象を与えるもので、だとすればテンポは落とさず、流れるように進めていって、最後は勢いで盛り上げる方が、曲全体を魅力的に見せやすいはずです。

 とはいうものの、この曲は簡単そうに聴こえて実はそうでもなく、特に弦楽器は要所要所でかなり細かい音符と格闘しないといけません。なので、そういうパッセージで無理がないようテンポを落としたのかという気もしたのですが、オープニングとサブメインを聴く限り、そこまでせざるを得ない程度の力量のオーケストラだとも思えません。となると、このテンポ設定は曲を間延びさせかねないリスクを結構はらんだ、相当な賭けになるわけで、あるいは途中どこかで加速するかも知れないとも思われました。

 しかし、今回の演奏は最後まで遅めのテンポで通しました。第2楽章と第3楽章も、第1楽章に比例して通常よりゆっくりとしていましたし、第4楽章は他よりは若干速めだったものの、他の演奏と比べると普通ぐらい。全曲を通じて、ところどころつんのめりそうになるような箇所がないではなかったのですが、演奏が崩れそうにまではならず、最後までまとめきりました。

 それとともに、テンポを落としたことで、通常ならサラリと流されていた曲の部分部分が聴きやすくなった面もあります。ただしこれは良い面ばかりではありません。勢いでごまかせない分、演奏のあらが露呈しやすくなりますし、それぞれの1拍1拍が長くなりますから、音符の長さ分を十分演奏できず、途切れ途切れになったり、かすれたような印象を与えてしまう危険もあります。ただ、私が聴いた限りそのような箇所はほぼ見受けられませんでしたし、その点でもテンポ設定は成功したといえるでしょう。

 今回の演奏はあまり慣れないものでしたが、冒頭から終結まできちんと貫き通したことで、なるほどこういうやり方もあるのか、という新たな発見を得た気分です。ただ、ひょっと、過去に似た例があるのかも知れませんが……最近聴いていない録音を聴き直してみますかね。

 

 ちなみに、先に述べたカリンニコフの交響曲第2番に関するエントリはこちらです。

 

3710920269.hatenablog.jp

 

 カリンニコフについては、以前NHK交響楽団の演奏会に行った時のエントリで書いていますので、よろしければそちらもご覧ください。

 

3710920269.hatenablog.jp

 

 

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