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人には添うてみよ、馬には乗ってみよ、酒には酔うてみよ。

モンゴル訪問の記録より(9)シャーマンの宿営所

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 ハーンの許を辞して、次に向かったのはシャーマンの宿営所です。現在のモンゴル国ではチベット仏教が主に信仰されていますが、仏教伝来以前から現在に至るまで、シャーマニズムが受け継がれてもいます。ただ、ひとくちにモンゴルのシャーマンと言ってもいろいろいる、というのが、今回訪れるアトラクションのポイントです。

 

 

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 バスを降りると、先程のゲル群がすぐ近くで見つかりました。こんなに近くにアトラクションが並んでいる例は、13世紀村の中では少ないような気がします。念のため言っときますが、これは「近い」んです。いいですね?

 

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 宿営所に着いてみると、なにやら不思議な建造物の脇に、タイプの異なるゲルがいくつか建っています。

 

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 入ってみると、なんか謂れがありそうな木を中心に、先の尖った木材が円を描くように並べられています。悪霊か何かの侵入を防いでいるかのようです。

 

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 中央にある御神木。枯れながらも生えているというところに何がしかの謂れを感じるのだそうです。

 木を三方から支える支柱には、ハタグという青い布がいくつも巻きつけられています。モンゴルでは神聖なものを祀ったり、賓客を迎えたり、贈り物を捧げる時に使われる、尊い布です。

 

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 さて、ここまでひとくちに「モンゴル」と言ってきましたが、民族集団としての「モンゴル」はさまざまな部族が含まれます。

 そのような部族の中で、この宿営所では6つの部族のゲルやテントが再現されています。いちばん南側にあるのがウリヤンハイのゲル、という説明を受けたのですが、ウリヤンハイという集団が「モンゴル」に含まれると言い切れるかはかなり疑問で、それと関連して、ウリヤンハイを「民族」と捉えるべきか、「部族」と捉えるべきかも、正直よく分かりません。この辺、欧米的な「民族」「部族」の切り分け方が着たアジアの遊牧民族になじむのかという問題もありますし、ウリヤンハイの人々、「モンゴル人」を自認する人々それぞれの集団的アイデンティティ、さらに国内・国際政治の問題まで絡んでくるわけで、さまざまな主張はあっても、どれが正しいか、そもそも正解があるのかすら、率直に言って分からんのです。

 

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 ともあれ、ここでは13世紀村を建てた人々が理解する「モンゴルの諸部族」から、シャーマンのゲルが選ばれて建てられていることだけは言えそうです。

 

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 中には木造のものもあります。記憶が正しければ、これはブリヤートのもの。彼らは木造の家屋を建てて居住する習慣がもともとあったのです。

 

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 ちなみに、ブリヤートも「モンゴル」の一部族か、「民族」なのかが非常に微妙な集団です。もっとも、ブリヤートはあくまでブリヤート、それを勝手にどう当てはめるか勝手に議論してるだけでしょ、という言い方もあるわけです。

 

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 「民族」「部族」という概念が、人々の集合に先立って存在していて、あらゆる集合がそのどちらかに位置づけられるという考え方自体に無理があるのです。この点を前提とすることなしに、とりわけ、時間・空間どちらの観点でも遊動的な北アジアの集団を理解することは、おそらく不可能です。

 

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 とまぁ、偉そうなことを言ってきましたが、実のところどのゲルやテントがどの部族のものだったか、いろいろややこしくて覚えてなかったり(汗)

 次回来るときは、もう少しキチンと聞いて、メモするなり何なりしないといけませんね。