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人には添うてみよ、馬には乗ってみよ、酒には酔うてみよ。

2016モンゴル国会総選挙一口メモ(8)その他注目勢力

モ国

 

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 ここまでモンゴルの主要政党を紹介してきましたが、今回は他の同盟2つを取り上げて解説します。どちらも現職の国会議員候補者に加わっており、良くも悪くも報道で繰り返し取り上げられるなど、他の勢力より注目度が高いと考えられるためです*1

 

 

1. 「独立・調和」同盟(独立調和党)

 独立・調和同盟は、昨年設立された独立調和党が今回の総選挙に参加するにあたり、モンゴル緑の党前回のエントリでも登場した政党です。当然ながら市民の意志・緑の党に合流しなかった方です)と結成した同盟です。

 今年に入ると、「正義」同盟会派所属のオヤンガ国会議員(モンゴル民族民主党)が党・同盟を離脱して独立調和党に移籍、そのまま党首の座に就任しました。この時に「正義」同盟とモンゴル人民革命党を離れたツォグ国会議員も、後に合流しています。オヤンガ議員は「正義」同盟時代に与党議員でありながら首相解任案の上程に加わるなどで注目を集めた女性議員で、一方のツォグ議員は2012年総選挙の結果国会副議長に就任した人物です。この2人が加わることで、今年の総選挙でも議席維持の可能性は十分あるかと思われました。

 しかし、既に何度も述べている選挙制度急変の負の影響は否定できないところです。また、同盟からは44名の立候補者が出ていますが、ツォグ議員の名前は見つかりません。その上、今月に入るとスキャンダルにまで見舞われます。民主党エルデネチメグ国会議員が政府庁舎内で飲酒・喫煙している動画が流出、さらにはファイルの持ち主にカネの無心までされていたという話が発覚したのですが、その動画の撮影者がオヤンガ議員だというのです。オヤンガ議員自身は疑惑を否定しており、真相は不明ですが、これでイメージに傷がついたのは間違いないでしょう。党内からは彼女に叛旗を翻す動きも出ており、そもそも選挙戦に集中できる状況かどうかすら怪しい状況です。

 

2. 愛国者統一同盟

  こちらは愛国者統一党と全モンゴル労働者党による同盟です。両党とも選挙で議席を獲得した経験はないのですが*2、今回は強力な「助っ人」を擁して議席獲得の公算が高まっています。ガンバータル国会議員です*3

 

 ガンバータル国会議員はモンゴル労働組合連合(モンゴルの労働組合の統括組織)の総裁を務め、2012年には国会議員に選出された人物です。無所属ながら国民の人気は高いようで、近年の世論調査を見る限り、国内での関心度は大統領や首相、主要政党党首をゆうに上回っています。

 そのガンバータル国会議員ですが、昨年暮れには労働国民党という政党に入党、今年に入ると党首就任が発表されます。労働国民党は昨年春に主要メンバーを一新してから急速にメディアの関心を呼んできた政党で、同議員の加入によって、今年の総選挙では旧来の政党への不満票を集めて一気に躍進するという見込みもありました。

 ところが、ガンバータル国会議員の党首就任に反発する勢力が登場、別の人物を党首と称して対抗します。この争いは最高裁に持ち込まれましたが、裁定はどちらの党首就任も認められないというものでした。この騒動で選挙どころではなくなったのか、労働国民党は党としては総選挙に参加せず、党員は無所属で立候補することになりましたが、ガンバータル国会議員に関してはさまざまな憶測の末、この愛国者統一同盟からの立候補が決まりました(ただし、同盟内のどちらの党に所属することになったかは分かりません)。

 ただ、この騒動の間もガンバータル国会議員の人気が落ちたという話は聞きません。党首就任後に雲行きが怪しくなってきた3月に発表された世論調査の結果でも、相変わらず高い人気が示されています。騒動で彼の再選可能性がなくなったと見るのは早計でしょう。

 そして当選した場合、次のステップとして大統領選挙が視野に入ります。モンゴルでは、大統領候補を出すことができるのは国会に議席を有する政党です。愛国者統一同盟が当選者を出せば、ガンバータル国会議員にも大統領選の道が開けるということです。彼がこと今回、無所属ではなく政党・同盟から立候補した理由の1つが見えるようです。

 ただし、ガンバータル国会議員が注目を集めるようになった背景には、外国資本による鉱山開発に対し、モンゴル側の権益増加を強硬に主張する彼の姿勢があります。実際に氏が大統領選に立候補するとなれば、当選するかどうかはさておき、少なからぬ得票は見込めます。彼の主張はさらに広がり、勢いを増すことでしょう。

 一方で、2012年以降モンゴルへの外国投資は激減しており、これをどう呼び戻すかが課題となっているという現実もあります(詳しくは『アジア動向年報』収録の拙稿「モンゴル」をお読みください)。 この背景として、外資の活動に対する規制強化や不透明性を嫌気したという解説も可能です。モンゴルの権益を主張する声が、結果としてモンゴルの経済成長や外貨収入拡大につながるかは疑問です。

 今回の選挙でガンバータル国会議員が再選されるかどうかはまだ分かりません。ですが、1つだけ確実に言えることがあります。ガンバータル国会議員が再選されるかどうかは、モンゴルの特に経済面での対外関係を左右しかねないものです。そして、モンゴルとのEPAが発効した日本も決して無縁ではありません。加えて東アジア情勢を考えても、モンゴルの政治・経済の動向は、もはや日本にとって他人事ではないのです。

 

 次回は二大政党の話に戻り、両党の公約集を簡単に見比べてみます。

 

3710920269.hatenablog.jp

 

  ちなみに、過去のエントリです。

3710920269.hatenablog.jp 

 

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*1:国会選挙及び・国会における同盟については、第3回のエントリをご覧ください。

*2:全モンゴル労働者党はシネバヤル前国会議員が現職時代に人民党を離脱して結成した政党ですが、2012年総選挙では全敗でした

*3:ガンバータル国会議員についての解説は、国会ウェブサイト上にある略歴を参照しました。ganbaatar.parliament.mn