再び駅の外へ。賑やかな声が聞こえる方向に向かうと、イベントの真っ最中でした。
開業記念ということで、地元のカニ汁が振る舞われています。ぜいたくなものです。
近くではコーヒーショップが新幹線珈琲、はやぶさブレンドというのを振る舞っていました。何がどうはやぶさなのかは分かりませんが、とりあえず深みがあって美味しかったのは確かです。
イベントでは北海道内の名物に始まり、東北地方をはじめ全国各地の料理を扱う露店がずらりと並んでいました。
はては鹿児島からの出店。かつて函館から鹿児島まで行こうものなら、連絡船や列車で丸一日以上かかっていたのが、今や飛行機でなくても、その日のうちにたどり着けるわけです。とてつもないことです。
他にも露店は本当にたくさん出ているお昼時。非常に誘惑が強いところでしたが、そんな誘惑を振り切ってでも、今回ぜひ一度行ってみたいところがあったのです。
駅から東に少し歩いたところにあるハンバーガーショップ「ラッキーピエロ」。函館のご当地ハンバーガーとして知られつつあるお店です。これまで函館に来た時には駅弁や海産物系を仕入れていたのですが、本来の意味で「地元の味」というのは観光向けのものではないだろうという気もあり、せっかく函館に来るのだからと、計画に入れていたのでした。
ただ函館駅前店に着いてみると、ハンバーガーショップと思っていたのが、カレーはある、オムライスはある、ハンバーガーも当然やたらある、これは何を食べればいいのかと、途端に迷ってしまいます。ただ土曜のお昼で店内は大賑わい、注文待ちの人も多いので、レジ前で躊躇しているわけにもいきません。ならばと、とりあえず人気のものにしようという社会学者にあるまじき流されっぷりで注文を決めると、20分ほどかかるとのこと。ハンバーガー＝ファーストフードのイメージからすれば驚きですが、作り置きをしない上に書き入れ時なので、こういうこともあります。幸い待つ時間はあるので、時間を見計らってまた来ることにしました。
ラッキーピエロが入っている百貨店の正面に回ると、行列ができていました。近隣の商店街が鱈のすり身汁を振る舞っているというのです。私も法被姿の方に促され、行列に加わりました。
こちらが鱈のすり身汁。大きなつみれがゴロンと入っています。晴れているとはいえ北の大地、日差しは高知に及ぶべくもありません。温かい汁物が実に身に沁みます。
……という流れでハンバーガーというのもヘンな感じですが、気にしたら負け。ちょうど時間になった辺りで、再びラッキーピエロに向かいました。着いてみるとハンバーガーはとうにできているので、受け取って昼食本番です。
すぐ食べるのでビニール袋も何も頼まず紙袋だけ。ただその紙袋が賑やかです。
今回はチャイニーズチキンバーガー。定番、みたいです（道南の皆様ご教示ください）。ハンバーガーでチャイニーズってどうなんだ、と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、このバンズのふんだんなゴマの風味、チキンの味、イメージするところの中華風です。
って、そういうイメージやステレオタイプを相対化するのが本来の私の仕事ですし、ここで固定観念を再生産しちゃいかんのですが、一方でこれが「ハンバーガー＝アメリカ風」という固定観念の相対化につながる面があるとも言い得るわけです。ま、最近はライスバーガーが当たり前にあるので、そんな観念は薄れたとも思いますが。
ただ何はともあれ、楽しく食べられる、また函館に来る機会があれば頼んでみたい逸品でした。他のハンバーガーも正直気になりますが。
