高知駅前から枡形までの直行便が平日朝ラッシュ時を除き、2月1日から運休になります。これにより、土曜・休日に運転されていた外国電車も、当面定期運転がなくなります。残念な話ですが、なにせ運転休止が迫っているので、落胆しているヒマはない。そういうわけで、定期運転休止前日となる昨日、乗りに行ってきました。
高知駅前電停にやって来た運休前最後の電車は、元リスボン市電の910号車でした。
停留所に到着し、乗客を降ろす910号車。前面に記されているのは、現地のスーパーの名前だそうです。
折り返しで枡形行となった910号車。車体にはリスボン時代の広告がそのまま残っています。
行先表示幕は手回し式。その上には集電用のトロリーポールが残っています。日本では保存鉄道を除き、ポールが実際に使われることはありませんが、装飾として残されているようです。
ボヤッとした写真で済みません。車内は1人掛けと2人掛けの座席が並んでいます。背もたれを動かして向きを変えることもできます。
こちらが運転台。他の車両もそうですが、とさでんの車両の運転台は簡素そのもの。計器はブレーキの圧力計だけで、速度計もありません。車内放送設備はありますが、他の車両と異なりツーマン運転です。
さて、910号は定刻を少し遅れて高知駅前を発車。車内には私含め乗客は8人。シーズンオフとはいえ寂しいものです。
ともあれ、その後は高知橋、蓮池町通と順調に進み、はりまや橋の交差点に差し掛かりました。ほとんどの電車はここでそのまま直進、南下するのですが、この枡形行は交差点を右折して伊野線に入ります。
とさでんの他の電車同様、910号車も車内にプロフィールが示されています。なお、ここで出てくる533号車はすでに廃車となっています。
こちらは1993年、当時の土佐電による外国電車導入の取り組みに対して贈られた国際交通安全学会から学会賞(業績部門)です。
しかしその後は諸事情から外国電車は導入されなくなり、現在では3両が残るのみです。それら3両の去就については何も情報はありませんが、今後はイベント等で登場するぐらいしか考えられません。すぐに廃車になるような気もしませんが。
910号ははりまや橋でさらに乗客を数人拾いましたが、その後西進して停留所に停まるたびに乗客が降りていき、終点枡形まで乗車したのは私含め2人だけ。
その2人を降ろすと、高知駅前方面に進路を変えるべく、枡形停留所を一旦後にしました。行先表示幕は、停留所に着く手前で既に切り替わっています。
ここから渡り線を通り、東行の線路へと移っていきます。実はすぐ後ろに電車が来ているので、のんびりはできません。
転線中の910号。この風景もしばし見納めとなります。
東行の線路に乗り、交差点を渡ってはりまや橋方面の枡形停留所に入る910号。
もう少し走れば再び桟橋車庫に戻り、長い休みに入ることになります。