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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

シリーズ土佐の駅(34)桟橋通五丁目駅(とさでん交通桟橋線)

 高知駅前からはりまや橋を越えて南下する線路は、浦戸湾とぶつかるところでその歩みを止めます。そこが桟橋線の終点、桟橋通五丁目停留所です。

 

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 高知駅前から到着し、折り返しで出発を待つ電車。停留所にはご覧の通り新しめのホームが設けられています。

 実のところ、このようなホームができたのは比較的最近のことです。それまでは屋根や仕切りばかりかホームとして識別できるスペースもなく、道端に電車が停まるという感じでした。

 

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 これが昔の停留所。10年以上前に四国を旅した際に撮った写真です。当時、手前の岸壁通(現在の桟橋車庫前)で乗客が降りてしまい、そのまま乗り続けようとした私が逆に運転士に不思議がられたのを記憶しています。乗客が乗り降りする停留所というよりは、ほとんど折り返し用の引き込み線のような存在だったのかも知れません。

 

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 さて、桟橋通5丁目から少し歩いたところに高知市民の憩いの場「わんぱーくこうち」があります。動物園と遊園地、水辺の公園まであって入場無料!という施設です。

 

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 無料なので大仰なゲートは必要ありません。臨時と言いますが普通に開いてるので、勝手に入ります。

 

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 わんぱーくの詳しい話は類書に譲りますが、ここにはかつて高知を縦横に走ってきた路面電車が保存されていて、車両番号のいかにも慣れない手書きという感じがちょっと残念ですが、保存状態は良さそうですし、中に入ることもできます。趣味的な話をすれば、屋根の上に乗っているのが昔ながらのビューゲルというのに感心した次第です。現役の電車で使われなくなって久しいものなので、おそらく保存する際に復元したんでしょうね。

 

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 パーク内には国鉄土讃本線(昔は「本線」だったんです)の客車50系車両も保存されています。こちらも中に入れます。今でこそディーゼルカーが定着しましたが、昔は鈍行と言えば機関車が客車を引っ張るものでした。

 

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 再び停留所へ。高知駅前行の電車が入ってきたところです。

 かつてはあまり顧みられることのなかった桟橋通五丁目停留所。その後、岸壁通停留所が改称、移設されて距離が空いたり、停留所自体も近代化されるなど、環境も自身も大きく変貌しました。

 

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 ただ、降車ホームから道路に出る通路の奥を見れば、撤去されず残されたままのかつての車止めに、昔の名残が漂っています。