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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

2015夏 宮城・常磐鉄道紀行(10)常磐線で原ノ町へ

 仙台からは常磐線に乗ります。電車と代行バスを乗り継ぐ旅です。

 

 

 周知の通り、常磐線東日本大震災福島第一原発事故で壊滅的な被害を受けました。現在も福島県内の竜田から原ノ町間、福島県宮城県にまたがる相馬・浜吉田間が不通となっています。特に前者の一部は原発事故による帰還困難区域が含まれるため、復旧時期がまだ示されていない区間もあります。

 

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 まずは仙台から浜吉田間の電車に乗り込みます。

 電車は仙台からしばらく東北本線を快調に飛ばすと、岩沼駅で分岐して常磐線に入ります。一面広がる平野の中を電車は走り、逢隈駅から亘理駅に到着しました。

 

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 電車は次の浜吉田まで運転しているのですが、代行バスがこの亘理から出ているので、乗り換えます。

 以前は亘理から浜吉田が復旧しておらず、代行バス亘理を出ると浜吉田駅前に立ち寄っていたそうです。いなかったのですが、復旧後も代行バス亘理からの運転を続けており、そのうえ浜吉田の停留所が駅から1キロ以上離れた国道上に移設された(地図参照)ため、乗り換えには亘理の方がはるかに便利なのです。

 

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 私が亘理に着いた時には、ちょうど相馬までの快速バスが発車待ちをしていました。旅行計画上は普通のバスでのんびり行けなくはないのですが、渋滞等のリスクを考えると代行バス区間は早めに抜けておきたいので、ここは急ぐことにします。

 乗り込んだバスはご覧の通り高速仕様。シートが分厚いおかげで発車早々に寝入ってしまいました。その後目を覚ますと、左手に田んぼが広がる平野と、その先に海が見えてきます。

 

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 しばらくすると、真新しいコンクリートが、代行バスの走る国道と平行に、つまりは南北方向に伸びているのが目に入りました。おそらくは、かつてのルートよりも内陸部に移って建設が進められている常磐線でしょう。

 

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 浜吉田・相馬間の運転再開は再来年(2017年)の春とのこと。私が見た範囲に関しては、工事は着々と進んでいそうです。

 新地駅による以外、田園地帯を望む高台を走り続けていたバスは、小一時間ほどで市街地に入り、相馬駅前へと到着しました。

 

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 相馬から原ノ町の間は再び電車です。他のどの鉄道とも接続していない、孤立した区間です。

 

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 相馬駅の駅名標。不通区間は隠されています。この覆いが取れるまで、まだ少しかかります。

 さて、相馬を出て原ノ町までは、間に日立木と鹿島の2駅だけ、20分もかからず着いてしまいます。それだけの短い区間ですが、それだけでも必要なればこそ復旧したのでしょう。

 

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 原ノ町駅に到着しました。ここから乗るバスが出るまで結構時間はあります。本来なら私が乗った1本後の電車でも、ダイヤ上は間に合うのですが、遅れが出ても接続待ちはしてもらえません。安全のために、あえて待ち時間を作ったのです。

 

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 「相馬野馬追」で知られる原ノ町。駅名板にも騎馬武者が描かれています。

 

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 大震災を乗り越えて復活した相馬野馬追。今年も7月末に開催されました。子どもたちも武者姿で祭りに参加しています。

 

 さて、原ノ町からのバスが着いたようです。ここからさらに南下します。