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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

2015夏 宮城・常磐鉄道紀行(6)女川へ

 石巻駅のホームでしばらく待っていると、東北のローカル線によくある四角いディーゼルカーがやって来ました。

 

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 この列車に乗って目指す先は、石巻線の終着駅女川。大震災で市街地も駅も全て流され、今年ようやく鉄道が戻ってきたばかりの街です。

 

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 車内には津波が発生した時の注意書きが貼り出されていました。「長閑な」ローカル線という言葉で収まらない現実です。

 

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 石巻を出たディーゼルカーは、北上川を越えてしばらく走ると、右手に静かな入り江を望みながら走ります。

 

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 静かな、いや、静かだったはずの入り江。それでも、恵みの浦。

 その裏を離れて峠のトンネルを越えると、ほどなく列車は女川駅に到着しました。

 

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 「歓迎」と大きく書かれた横断幕の向こうは、更地と切り開かれた山。

 大津波で壊滅した街が、高台に新たに作り直されている最中です。

 女川に着いたディーゼルカーは数分で小牛田(こごた)へと引き返します。不通に乗り鉄を楽しむだけなら、そのまま折り返すのですが、どうもそういう気にはなれない。すぐに出る列車はやり過ごし、1時間ちょっとあとに次の列車があるので、そちらに乗る計画です。

 

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 女川駅の車止め。かつて線路は200メートルほど先まで伸びていました。ホームは駅から階段を上った上にあり、1960(昭和35年)のチリ地震で押し寄せた津波よりも余裕で高いところにありました。駅の隣には共同浴場があり、休憩所代わりにディーゼルカーが留め置かれていました。

 しかし、大津波はそんな高台をもゆうに乗り越えて、駅も、線路も、車両もすべて押し流していったのです。

 

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 ようやく建てられた真新しい駅舎。かつてとは異なり、さらに高台に引っ込んだことで、ホームも改札も1階になりました。

 そして、地元の人々が待ち望んでいたであろう共同浴場も復活しました。私も心惹かれたのですが、まずはかつて訪れた市街地の場所(正直、どう表現すればいいのか分からない)を歩くことにしました。