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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

2015夏 宮城・常磐鉄道紀行(0)プロローグ

 鉄道乗りつぶしという趣味があります。JR全線、さらにJR以外にも範囲を広げて日本の営業中の鉄道を全て乗ってしまおうという趣味です。全てを制覇する、この言葉に憑りつかれた人々が、今日も日本中の鉄道路線に向かっています。

 

 私も多分に漏れず、乗りつぶしの魔に憑りつかれた1人です。そして10年以上をかけた旅の末に、昨年の年末でJRは「暫定的に」(この言い回しの理由はいずれ述べます)、またJR以外の各路線、それぞれ全線乗車を果たしました。

 ただ、鉄道路線は新たに増えていきます。今年は3月に北陸新幹線等が延伸しましたし(既に乗車済)、5月末には宮城県で、東北本線仙石線の連絡線「仙石東北ライン」が開業しました。また、同じ日に東日本大震災で不通になっていた仙石線の一部が路線を付け替えて再開しましたし、その少し前には同じく大震災で一部不通となった石巻線が終点付近のみ短縮した上で、全線での運転を再開しています。

 新規路線は当然ながら乗車経験がないのですから、新たに乗りにいかない限り、乗りつぶし達成状態は解消されることになります。運転再開となった仙石線石巻線の一部の扱いは人によって異なるでしょうが、個人的には前者は「乗らなきゃいけない」、後者は「いけないわけじゃないけど乗っておきたい」路線です(「なに言ってだこの人」という声が聞こえてきそうですが、おいおいご説明しますのでしばしお待ちください)。なので、開通・再開以来ずーっと気にはなっていたのですが、LCCで日帰り強行軍ができた関西在住時代と異なり、高知から東北まで直行便もなし、訪れるとなると結構大事です。

 そのため、この間指をくわえて待っていたのですが、ようやく夏休みにまとまった時間が取れたので、乗りに行くことができました。

 

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 先にも書きましたが、高知から仙台まで飛行機で行こうと思えば大阪(伊丹)で乗り換えることになります。私もそのつもりでチケットを押さえ、当日龍馬空港に行ったところ、夏の夕方で天気が不安定なため、飛行機が20分遅れになるとの掲示に出くわしました。

 もっとも20分なら乗り換え待ちの範囲内、慌てることもなく搭乗口に入ったところ、さらに遅れるとのアナウンス。流石に不安も出てきましたが、地上係員の方曰く乗り継ぎはできるので心配には及ばないとのことで、まずは伊丹に向かうことにしました。

 

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 高知-伊丹便のうちジェット機で運行されるのはほんの一部。この機材にもすっかり馴染んだ感があります。

 

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 伊丹に着いてみると、仙台行きの搭乗口も変更されていて、出発時間も遅れていました。天気のせいか、機材のやりくりのためかは分かりませんが、理由はどうあれ間に合ったことには変わりません。この日は仙台で投宿するだけですし、今日中に現地についてくれればこちらは文句もない話です。

 

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 はたして大阪-仙台間の機材も同じくQ400。ま、同じプロップ機でも昔乗ったモンゴル国内線のアントノフに比べれば快適そのものです(比べるな)。

 

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 結局仙台には50分ほどの遅れで到着。幸い空港連絡鉄道はまだ動いていたので、空港からの移動は問題ありませんでした。

 

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 仙台市内も結構な雨なので、地下街に逃げ込みます。通りかかったポスターは、東北楽天の主催試合の案内でした。

 そういえば、宮城球場には9年以上行っていません。2009年にはモンゴル学会が東北大学で開催されたので、参加するに合わせて観戦の予定だったのですが、生憎の雨で中止。仕方がないので仙石線経由で女川まで行ったのでした。

 ただ、あの日雨が降っていなかったら、私はデーゲームを観てそのまま仙台を後にしていたことになります。そうなったら、仙石線石巻線に乗っていないまま、大震災で長期不通の憂き目を見ることになったわけです。何より、全くの偶然で、私は大津波に押し流される前の女川の街を見て、歩くことができたのです。それがどれだけ貴重なことか、知る由もなしに。

 たった1日の天気の違い。それがもたらした大きな違い。その違いを、私はまだ受け止めきれずにいます。