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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

北川村夏紀行(1)モネの庭マルモッタン・花の庭篇

 高知で初めて迎える夏を満喫したい!ということで、高知家・まるごと東部博真っ盛りの北川村へ行ってきました。まずは高知に咲いたフランス文化、「モネの庭マルモッタン」について、たぶん3回に分けてお伝えします。

 

 高知県安芸郡北川村は県東部の内陸に位置する村で、役場のサイトによれば 人口は2015年5月末で1,404人。決して大きな村ではありませんが、幕末の志士中岡慎太郎の郷里として歴史ファンには有名でしょう。一方で、彼はもともと北川村の庄屋の出であり、彼が栽培を奨励した柚子は今も村の特産品となっているなど、篤農家としての側面も見逃すわけにはいきません。

 そんな北川村で私がまず訪れたのが「モネの庭マルモッタン」。まさか、あのモネ?と思った方、正解です。フランスの画家クロード・モネです。モネが生涯の後半を過ごしたパリ郊外のジヴェルニー、そこで彼が愛した庭園を再現したのが、この「モネの庭マルモッタン」なのです。

 

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 高知市内から休憩も入れて2時間ほどで着いた「モネの庭マルモッタン」。建物から案内板から緑を基調とした独特の雰囲気なのですが、気候も蝉の声も高知県です。開園の経緯については公式サイトに記してあるのですが、それにしてもフランス・ジヴェルニーの人々にとって何より大事であろう「モネ」の名を冠した庭園が土佐の山奥にあるという状況は、正直ながら簡単には慣れにくいものがあります。

 ともあれチケットを買うと、「睡蓮は昼になるとしぼむので、先に見に行った方が良いですよ」との係の方の声。それならばと、睡蓮の咲く池を囲む「水の庭」に向かいました。

 ちなみに注意点!チケット売り場は「水の庭」から駐車場を挟んで向かいの「花の庭」の方にありますので、到着したらまずはそちらに行くようにしましょう。

 

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 入場してすぐのところにある滝。こういう季節には涼しげでいいですね。

 

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 しばらく歩くと、一面を睡蓮に覆われた池が姿を現しました。

 

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 池に架かる橋は、中央に向かっていくらか丸みを帯びています。

 

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 この形はモネの日本趣味を示しているのだとか。そう言われれば太鼓橋っぽく見えなくもありません。

 

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 背後の山がほとんど隠れているせいで、この光景だけ取り出せば、ここが日本ではないと言っても通用しそうな気はします。

 

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 岸には小舟が浮かんでいます。

 

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 夏の日差しを浴びて輝く水面。これだけ睡蓮がいっぱいだと、小舟で漕ぎ出す気にはなれません。

 

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 一方で、岸辺にはほかの花々も。これはラベンダーでしょうか。花には疎いので分かりませんが。

 

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 奥の方、やや左手のところ、何やら緑色のものが立っています。看板でも立てかけるのでしょうか。

 

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 実はこのような形で、池の周りにはモネの絵画(複写)が何箇所か置かれています。

 

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 池のほとりにあるバラのアーチ。残念ながら、バラのシーズンは過ぎていたので花を見ることはできませんでしたが。

 

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 庭園でくつろぐモネの姿も。

 

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 展示されている絵画の中には、池に咲く睡蓮の絵も、当然と言えば当然あります。

  

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 睡蓮についての案内がありました。モネにとってこの花がどれだけ重要だったかが伝わります。また、わざわざジヴェルニーから株分けしたという凝りようにも感心させられますが、そのおかげでモネにとっては幻だった青い睡蓮が咲いたというのですから、モネにとっても幸福なことではあるでしょう。

 

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 そんな睡蓮の花が、池のあちこちで咲いています。

 

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 睡蓮の最盛期は7月末から9月中旬とのこと。そう、まさに今です。

 

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 フランスから土佐の山間に移ることで咲いたモネの夢、青い睡蓮。

 ここ北川村でこそ味わえる、近代フランス文化の結晶です。

 

(参考)水の庭│北川村「モネの庭」マルモッタン