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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

シリーズ土佐の駅(5)朝倉(高知大学前)駅(とさでん交通伊野線)

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 先日はJRの朝倉駅をご紹介しましたが、今回はとさでんの方。同じ朝倉駅でも少しだけ離れていて、JRの駅に近いのは朝倉駅前駅です。どちらも職場への最寄り駅ですが、一番近いのはとさでんの駅で、駅の副名称として「高知大学前」が使われています。

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 駅です。誰がなんと言おうと駅です。

 線路沿いに緑色になっている部分がありますね。ここがホームみたいなもの。この部分で電車に乗り降りするのです。

 路面電車に詳しい方はご存知でしょうが、停留所の中にはこのように仕切りも何もないところがままあります。とさでんの車内放送等では「ノーガード電停」と呼ばれています。そのまんまですね。

 

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 ただ、こんなところで電車を待つのは当然危険です。なので、電車が来るまでは近くの道路脇で待つことになります。

 と言っていたら、電車が来ましたね。

 

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 やって来たのは、朝倉折り返しの電車でした。

 

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 電車を降りる人々。この間、自動車は停留所の手前で止まっています。ルールを守ることで安全が保たれているのです。

 ちなみに、この電車は乗客を降ろしてから、いったんドアを閉めた後、反対側のドアを開けて折り返しの乗客を乗せることになります。その反対側には行き違い用に線路がもう1本あるので、乗客はその線路を渡って電車に乗り込みます。

 道路上で電車に乗り降りする。踏切でもないのに線路を歩いて渡る。大都市の電車を思い浮かべれば、あり得ない光景ですが、ここではなんてことのない当たり前のことです。

 

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 とさでんと言えば「ごめん」の標示板があまりにも有名ですが、朝倉行の電車にはこのような青色の標示板が掲げられます。途中駅止まりの電車で標示板を出すのは、今では朝倉行ぐらいのものです。

 

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  折り返しの電車が発車してしばらくすると、西から東へ向かう電車が入ってきました。ここで行き違いの伊野行電車を待っています。

 

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 「いの」の赤い看板を掲げた電車がやって来ました。

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 電車は線路で横並びではなく、斜めに停車しています。

 朝倉から西、中山信号所までの間を走る電車は、タブレット(通票)と呼ばれる一種の通行手形を持っていることが決まりです。タブレットは1つしかないため、これを持っていない電車を閉め出すことで、単線区間に複数の電車が走って正面衝突する事態を防ぐことができるのです。タブレットを受け取った運転士は、この区間を走り終えたら、行き違いの電車にタブレットを渡し、その電車が区間を走り終えたらまた次の電車へと、というように、タブレットはこの区間を毎日行ったり来たりしています。2両の電車が斜めに停まっているのは、このタブレットを運転士どうしが受け渡しやすいよう、電車の運転台の位置を揃えるためだったのです。

 タブレットはかつて日本全国の単線区間で使われていましたが、自動式の信号が普及するようになると次第に廃れていきました。とさでんでも、現在タブレットが使われているのは、単線区間のうち朝倉から西方面だけ。ほかは信号が使われています。今ではすっかり貴重となったものだけに、これをわざわざ撮りに来る人もいるぐらいです。

 

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 で、そのタブレットの受け渡しの場面を撮りたかったのですが、タイミングが合わずに失敗……

 ただ、今このエントリを書いていて、動画で撮ればよかったんじゃないか、ということに気づきました。今後試してみましょう。

 

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 タブレットを渡した電車は、矢印の信号に従って東へと去っていきました。ここからしばらく自動信号による単線区間を走った後、鏡川橋を渡って大通りへと出ていきます。